ついはしゃぎ過ぎてしまいました。久しぶりに執筆に興が乗ったもので

ウィリアム・
シェイクスピアCaster of "Red"

CV 稲田 徹

魔術協会に雇われた魔術師により召喚された「魔術師」の英霊。
キャスターでありながら、魔術はほとんど使用できない。壮麗な物語を紡ぐことを人生の目的としている。

ウィリアム・
シェイクスピアCaster of "Red"

ダンテやゲーテと並ぶ「世界三大文豪」のひとりとして知られるシェイクスピアは、英国が輩出した偉人の中でも最高峰の知名度を誇る劇作家である。

卓越した人間観察眼を誇るシェイクスピアは、観察対象の本人すら気づいていないか目をそらしている、心の内に秘められた“触れられたくない側面”を容赦なく暴き立てる。そして、繊細かつ叙情豊かな筆致で登場人物の心理描写を綴ることで、英文学史に残る名著をいくつも残してきた。「ハムレット」「オセロー」「マクベス」「リア王」という、誰もが一度は作品名を聞き及んだことのある「四大悲劇」をはじめ、「ヴェニスの商人」や「お気に召すまま」といった喜劇、「ヘンリー六世」をはじめとする史劇などジャンルを問わず執筆しており、その名声は止まるところを知らなかった。

しかし、シェイクスピアは最初から作家としての人生を歩んでいたわけではない。もともと彼は、当時はいかがわしい職業とされていた俳優だったのだ。26歳で生涯の妻となったアン・ハサウェイと結婚した彼は、数年後にロンドンへと移り、そこで演劇の世界に身を置くようになった。俳優として活動するかたわら脚本も執筆するようになった彼は、すぐに劇作家としての才能を開花させた。やがてシェイクスピアの劇団は、即位したばかりのジェームズ1世がパトロンとなったことで「国王一座」と改名し、名声は確固たるものとなった。

シェイクスピアは人間が織りなす喜劇や悲劇といった、色とりどりの“物語”を愛した。対象となる人物が善を為そうとしているのか、それとも悪を為そうとしているのかは関係なく、ただ純粋に“面白いか否か”だけが重要だった。そんな彼が召喚された「聖杯大戦」において、“全人類の救済”という途方もない野望を成し遂げようとしている天草四郎時貞に興味を持ったのは、当然のことだったと言える。

恐らく、天草の野望が達成される未来も、その志しが折れるのも、どちらも等しく極上の“物語”となる。善悪や利益に囚われず、そのようなエンターテインメントをひたすら追い続けたシェイクスピア。その姿勢こそが、彼を世界最高の劇作家たらしめるものなのだろう。